桜と猫。
桜が咲き誇り、すっかり春ですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
今回は、あまり季節とは関係ないけれどきっと注目度が高まっているであろう、
『さくらねこ』についてのお話をさせていただきます。
画像のにゃんこは、いわゆる『桜色の猫』ですが、『さくらねこ』はまったく違う種類の猫ですよ。
ただの雰囲気です(笑)
結論から言うと、『さくらねこ』とは、耳カットされた猫のことです。
見たことありますか?
片耳に、V字のような切れ込みが入っていて、
それが桜の花びらのようであることから、『さくらねこ』と呼ばれるようになりました。
なぜ耳カットをしているのか。
もちろん、ファッションなどではありません。
これは、野良猫の中で、避妊去勢手術をした猫に、目印として耳カットをしているのです。
決まった名前や家がなく、いつでも会えるわけではない野良猫でも管理しやすいように、
避妊去勢手術が済んでいるとひと目でわかるようにしているんですね。
では、誰が、どうやって、野良猫をさくらねこにしているのでしょうか?
お外で暮らしている猫ですが最近は、野良猫ではなく『地域猫』と呼ばれるようになりました。
昔から共存してきた人と猫ですが、今はより親しく、共生するようになってきました。
それにより、昔よりも猫による被害が問題視されるようになります。
野良猫に餌を与えること自体は昔からありましたが、
食べ残しや糞尿による臭いなどに、近所の人たちは困り果てているのです。
猫嫌いの人にとっては、たまらないでしょうね。
それにより、ご近所トラブルへと発展してしまうのです。
猫のために餌を与える。
それが、かえって猫を追い詰めることに繋がる。
餌を与える前に、そのことをよく考えなくてはなりません。
そこで、近所の猫好きさんが、この社会問題を解決するべく立ち上がり、
『地域猫ボランティア』が各地で発足されました。
その主な活動内容は以下のとおりです。
- 猫への充分な食事提供、後片付け
- 猫トイレの設置、掃除
- 猫の寝床の設置
- 近隣住民への挨拶まわり
- 猫のTNR活動
- 猫の里親探し
など。
保護猫ボランティアの活動とほぼほぼ変わりませんね。
詳しい説明はまた追って書きますが、
これだけのことを自費で行なっているのです。
多分、個人でやっている方なんかは、寄付金はあまり集まってこないと思います。
そして、特に骨が折れそうになるのは、近隣住民への挨拶まわりだと思います。
これからボランティア活動をはじめていきます。という、文字通りのご挨拶はもちろん、
責任を持って面倒を見ます、どうかご理解をお願いします。と、
理解や許可を得なくてはならないのです。
中には猫が嫌いな人も暮らしているので、一悶着起きそうですが、
だからといって、猫を排除することもできませんので、
せめて、迷惑をかけないようにしますから…と、共存の説得をするのです。
元はといえば身勝手な人間が猫を捨てるから野良猫がうまれるのに、
なんだかおかしな話ですけれどね…。
そうして、晴れて活動をはじめると、
約束どおり『ご近所に迷惑をかけないように』=不用意に猫を増やして不幸にしないように、
避妊去勢手術をして、一代限りの命を見守っていくのです。
ですから、管理が行き届いている地域猫は、その多くがさくらねこだと思います。
ただ、ひとつ問題なのは…
外で暮らす猫が一向にいなくならない、ということです。
地域猫が避妊去勢手術をした猫だけになれば、
10年くらいすればみんないなくなるはずなのに、
どこからともなく、新しい猫が増えていたりします。
ということは、別の地域から移動してきたか、あるいは、人間に捨てられた猫か……
どちらかしか考えられないでしょう。
保護猫ボランティアも、地域ボランティアも、保健所も、
完全にイタチごっこをさせられているのです。
そして、新たな、不幸な猫が出てしまうのです。
野良猫、地域猫は、もう、『野生の猫』ではないのですよ。
いつか、さくらねこは生涯を全うし、散っていくことでしょう。
そのときには、外で暮らす猫がいなくなり、
屋根のあるあたたかなおうちでのびのびと暮らす生き物になってほしいと願っています。